お通夜

 先輩のお父さんが亡くなりお通夜に行く。数ヶ月前に先輩の結婚式があって、元気そうなご様子を見たばかりだったので居たたまれない気持ちになる。

 先輩は人一倍家族想いで、そもそも泣き上戸なので、お通夜でも泣いていた。
 結婚したばかりの奥さんが、先輩の膝の上に手をのせて、さりげなく力づけようとしているようだった。
 
 大事な人を亡くしたり、取り返しのつかない失敗をしたり、年を重ねると避けることが出来ない「無念」に直面することが増えるけれど、その膝の上に置かれた手を見ていると、人と人とが支え合って生きていくことはとても暖かいことだと、ほのぼのと思えてくるのだった。