2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

父の詫び状

遠方への出張が続き、背中にべったりとした疲れが覆い被さっているような気がしていた休日の前夜、珍しく田舎の兄から電話があった。何用だろうと訝しがって電話をとると「きょう父が入院した」という。脳炎のような症状が突然進み、足が利かなくなっている…

夏の少年たち

甲子園で全国高校野球選手権が開かれているちょうど同じ時期に、全国の様々な場所を取材で訪れた。駅や空港に降り立つと、きまって地元の出場校に声援を送る垂れ幕が掲げられている。街を歩くと、ショールームのテレビから野球中継が流され、数人が立ち止ま…

 おとうと

街をぶらぶらする。 通りで野外演奏会が開かれていて、一組の姉弟が演奏に聞き入っていた。時おり、姉が弟に演奏の説明をしてやっている様子だったが、腕白盛りなのか関心があまりないのか弟は集中力を切らせてしまう。それでも姉は熱心に音楽の魅力を弟に教…

「1968」「戦争と青春」「少年時代」

週末に何か本を読もうと思って小熊英二の「1968」の上巻を読み始める。小熊氏の本らしく、その頁量は圧倒的で、仰向けになって読んでいると手首を痛めそうですらある。叛乱の季節とでも言うべきあの時代の通説を、丁寧にとぎほどしていくその内容は、ま…

8月のジャーナリズム

8月がきて、今年もNHK・民放問わず戦争関連ドキュメンタリーの力作が並ぶ。居住まいを正して番組を見る。 「日本海軍 400時間の証言」「核は大地に刻まれていた」「戦場のラブレター」「康子のバラ 19歳・戦禍の日記」など。厳粛な気持ちで見る。 …