2008-01-01から1年間の記事一覧

 「ヒロシマナガサキ」

ここ1年の映像作品吸収に関しての怠慢を反省し、TSUTAYAでいろいろと借りてくる。そのひとつ1年以上前に公開された「ヒロシマナガサキ」。 アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞に輝いた映画監督、スティーヴン・オカザキ。広島、長崎への原爆投下か…

 「人間の條件」

旅先で岩波現代文庫から復刊されている五味川純平の「人間の條件」を読了。 学生時代にACTミニシアターのオールナイトで映画版を見たことがあったが、9時間を超える上映時間を通して、仲代達也演じるところの主人公の運命の救いのなさに暗澹たる気持ちに…

ヒロシマ・ノート、戦争と人間

旅先で大江健三郎の「ヒロシマ・ノート」を購入。学生時代に古本屋で買って読んだような気がするのだが、読了してみると何も覚えていなかった。 僕は、この二十世紀後半の地球の唯一の地、広島の赤裸々に体現している人間の思想を記憶し、記憶し続けたいと思…

一年の記憶

今日で一応仕事納め。明日からなぜか夏休み。 映画も読書もほとんどおろそかになってしまった半年。日々の中で、記憶に強く刻まれる様々な作品に意識的に出会えるよう自らを仕向けなければと反省したりする。今年は何が一番心に残る作品だったろう。ドキュメ…

遠回り

最近、休日に仕事をする時は、帰りに遠回りして一人で呑む機会が増えてきた。 以前は休日出勤しても、誰彼ともなく、呑む人がいたのだが、だんだん職場にそういうカルチャーがなくなってきた。 よく立ち寄る店は、チェーン店のようだが、店員さんたちの元気…

 天才たちの競演

死せる赤塚不二夫、生けるタモリを走らす・・・稀に見る天才2人の最後の競演。 ここまですごい弔辞にはついぞ出会ったことがない。話題を呼んだ最相葉月氏の星新一の評伝の中でも、タモリ氏の星への言葉にはぐっとくるものがあったが、それにしてもなんと透…

 朝日

出張中の機上で見た朝日。何となく谷川俊太郎の「朝のリレー」の光景を想像する。 カムチャッカの若者が キリンの夢を見てるとき メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている ニューヨークの少女が ほほえみながら 寝返りをうつとき ローマの少年は 柱頭を…

別離の季節

別離の季節。何歳になっても、この時期が来ると何となく感傷的な気持ちになってしまう。今年もお世話になった畏敬する先輩たちが転勤することになった。毎年、気恥ずかしさが勝って、人並み程度のお礼の言葉や激励の言葉すらおくれたためしがない。情けない…

 「中田英寿 僕が見た、この地球。〜旅、ときどきサッカー〜」

もろもろのことどもに追いまくられる毎日で深夜に帰宅する。 夜酒を飲みながら録画しておいた「中田英寿 僕が見た、この地球。〜旅、ときどきサッカー〜」を見る。テレビマンユニオン制作。 番組を見た中田氏がどんな感想を持ったのかが一番気になった。

 普通の一日

日曜日。会社に出て仕事をする。休みは職場に人があまりいないため細々としたことをこなしたり、企画のことを考えるのに適している。地方の職場のときには、ほとんど土日なく会社にいたような気がするが、通勤時間にかかる東京ではそうはいかない。東京はヒ…

記憶すること

ある一定期間現場を離れなければならない業務があり、その業務を誰が担うのか、先週からその議論が続いた。 そして、長い議論の末にその業務を後輩が務めることが決まった。後輩の苦渋の決断の意味を記憶しつづけること、その記憶の持続を周囲にも強いること…

吉祥寺の古本屋

所用があっていった吉祥寺でいい古本屋に出くわす。 「東京人」や「散歩の達人」の古本屋特集などでよく紹介されている「りぶる・りべろ」。 今は東京・地方問わずどこにいってもチェーン店の古本屋がありそれはそれで重宝なのだが、やはり品揃えにこだわり…

ドラマも見なければ

「テレビドラマ ベスト・テン10年史 1997−2006」(愛育社)という本を読んでいると、そのスパンは、テレビの世界に入った時期とほぼ重なりあうのだが、あまり連ドラを熱心に見ていないということに気づかされる。 DVDでその後見たものも含めて…

テレビにとって「私」とは何か

日曜日の深夜に放送されたTBS「報道の魂 あの時だったかもしれない 〜テレビにとって「私」とは何か〜 」を見て極めて多くのことを考えさせられました。何度か見て、思考を定着させていきたいと思いましたが、この番組を見た畏敬する先輩の感想も印象的で…

 まっすぐな番組

5月3日に放送された札幌テレビ「まっすぐに智華子 〜全盲の少女と家族の13年」を見ました。全盲の少女の成長物語です。小野智華子さんを主人公にしたドキュメンタリーは継続的に放送されていて、過去に放送文化基金賞などを受賞したりもしています。録画…

 俗情との結託

一か月ぐらい前に放送されて、何やかやで見ていなかったETV特集「神聖喜劇ふたたび〜作家大西巨人の闘い〜」を見ました。90分というサイズでしたが、様々な演出が施され、老作家の強靭な精神のありようをあますことなく堪能できるドキュメンタリーでし…

賢姉愚弟

同じ職場で働く後輩と久しぶりに話しをした。ある企画の方向性に悩んでいるという。 どんな仕事でもそうだが、自分にとって、番組制作はいつも逡巡と後悔の繰り返しだ。夜中に「なぜ自分はこの企画が出来ると思ってしまったんだろう」と考えて眠れなくなりそ…

 ハイスピードカメラという妙味

出張を終え帰京。撮影の疲れと同時に肝臓の疲れを感じる。ロケに出ると、お酒を飲みながらスタッフと番組の方向性についてじっくりと話しあうことが多いので、どうしても酒席が長くなりがちだ。でも、番組と向き合っていくために不可欠なプロセスでもある。 …

草創期の熱気

今日の読売新聞の編集手帳より。 杉下茂投手の球が打者、藤尾茂選手の下っ腹を直撃した。1955年6月7日の巨人―中日戦である。実況の志村正順(せいじゅん)アナウンサーは「当たりました。なんと藤尾の“き…”」と言って絶句した。志村アナは机の下で隣の解…

映像化の問題

国内出張です。今回の番組は映像化が非常に難しいので、ストーリーをいつもより詳細に考えていかねばなならないとあせること仕切りです。テレビは言うまでもなく映像メディアなので、「映像化」という問題が常についてまわります。映像が「強い」場合は、テ…

 テレビとは人の「表情」

出張でHDDにたまったままになっていたドキュメンタリー番組をまとめてみました。 NHKスペシャル「愛美さんが教室に戻れる日」NNNドキュメント「箱車の喜び」BS世界のドキュメンタリー「Growing Up Online」など。 NNNドキュメントが印象的でし…

 あのころの未来/谷口ジロー「犬を飼う」

後輩の家に招かれて愉しい時間を過ごした。同じ年だけど入社が一年違いの後輩とは、20代の半ばにお互い縁もゆかりもない土地に赴任し、3年間机を並べた。彼は、才能溢れているがゆえに、上司から理不尽な仕打ちをうけることが多かった。僕自身も、将来に…

 路傍の花

明治通りを歩きながら取材先に向かっている途中で、路傍につつましやかな花壇を見つけた。 小さいけれど心が行き届いているその花壇になぜか強く惹かれるものがあった。 ささやかだけど、目が行き届いて、大言壮語はしないけれど、本質的なことからは逃げな…

出張中の読書

海外出張は、移動時間が長いので、日本にいるときより本を読めるのが何よりだ。 今回の出張中に読んだ本。 夏の闇 (新潮文庫)作者: 開高健出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1983/05メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 26回この商品を含むブログ (44件) を見る…

 時差ぼけと是枝裕和

時差ぼけ。アメリカ国内を移動してさらに時間の感覚がおかしくなっていく。 以前はそんなに気にならなかったが、今回はそれなりのダメージが体に蓄積されていき体内時計は狂いっぱなしだ。 朝から撮影をして、夜は打ち合わせをして、遅くにホテルに戻って見…

「空海の風景」を旅する

久しぶりのアメリカ出張。飛行機で隣の席に座ったサラリーマンらしき白人の紳士が、10時間近いフライトの間、ずっと漢字の練習をしていた。見るとはなしに手元を見ると、 などとノートに漢字を一心に書き取っている。紳士が柔和な感じの方だったせいか、そ…

ザ・ノンフィクション「姉と弟のススキノ物語」 NNNドキュメント「兵士たちが記録した南京大虐殺」

日曜日は一週間の中でドキュメンタリーの放送枠が一番多い日だ。何本かドキュメンタリーを見る。テレビドキュメンタリーには定型があるようでないことを考える。特に民放のドキュメンタリーの場合は、伝え手(記者やディレクター)の思いが最も重視されてい…

最相葉月「東京大学応援部物語」/にっぽんの現場「告発の電話鳴りやまず」

漠然と車を走らせていると桜のトンネルに出くわした。 桜のトンネルをくぐりながら、高校生のころに中原俊監督の「桜の園」という映画を見て、女子高の演劇部の他愛ない日常の屈託を描いた小さな世界のお話なのに、「永遠」を描いている気がして、静かな感動…

新しい航海

泊りがけの出張に行きました。準備を進めている番組の企画で、初めてカメラマンと音声マンを伴ったロケでした。最近は、民生機の発達でロケを1人で行うことも多いのですが、ひとまずは3人という人数が普通のドキュメンタリー番組の最小単位です。1人でデ…

絲山秋子「沖で待つ」

先日来、道を同じくしてきた同期2人と再開する機会にめぐまれた。 慣れ合うような付き合いではないけれど、芯から信頼できる畏友たちだ。今は、担当している番組のテーマも別々で果たしてそれが、それぞれにとって適性かどうかは分からないが、彼らの番組だ…