あのころの未来/谷口ジロー「犬を飼う」
後輩の家に招かれて愉しい時間を過ごした。同じ年だけど入社が一年違いの後輩とは、20代の半ばにお互い縁もゆかりもない土地に赴任し、3年間机を並べた。彼は、才能溢れているがゆえに、上司から理不尽な仕打ちをうけることが多かった。僕自身も、将来に展望を感じられない日々に倦んでいたので、彼といろんな話をして、お互いに自分を繋ぎ止めていたように思う。今は別の部署で大活躍している後輩にとって、上司の理不尽な仕打ちに苦しんでいたあのころは、雌伏の時だったのだろう。翻って、僕は、あのころ夢想していた未来に立てているのかと杯を重ねながらそんなことを思ったりもした。
後輩の家に行く途中に何冊か古本を買う。谷口ジローの「犬を飼う」の文庫本があったので再読。漫画表現の極北とも言える名作にあらためて泣かされる。
- 作者: 谷口ジロー
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1992/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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