絲山秋子「沖で待つ」

 先日来、道を同じくしてきた同期2人と再開する機会にめぐまれた。
慣れ合うような付き合いではないけれど、芯から信頼できる畏友たちだ。今は、担当している番組のテーマも別々で果たしてそれが、それぞれにとって適性かどうかは分からないが、彼らの番組だけは何をおいても見てみたいし、自分も彼らにとってそのようであり続けたいと思う。

 この作品で芥川賞を受賞した絲山秋子の「沖で待つ」は、総合職として同期入社した男女の、恋愛には発展しないけれど、確かな友情が描かれていて不思議な読後感を残す小説だ。この小説を読んだとき、同期の2人とか、はじめて勤務した場所で出会った先輩や後輩たちのことを考えたりした。

 絲山秋子作品の文脈とは全く違うのだけど、同期たちとは「沖で待つ」という言葉が抽象化する気分の中でつながっている気がする。

沖で待つ

沖で待つ