最相葉月「東京大学応援部物語」/にっぽんの現場「告発の電話鳴りやまず」

 漠然と車を走らせていると桜のトンネルに出くわした。

 桜のトンネルをくぐりながら、高校生のころに中原俊監督の「桜の園」という映画を見て、女子高の演劇部の他愛ない日常の屈託を描いた小さな世界のお話なのに、「永遠」を描いている気がして、静かな感動を覚えたことを思い出したりした。

 「桜の園」を思い出したついでに、そんな気分を喚起する本を読みたいと思ってあるハードカバァーを読みははじめたのだけど全然のれなくて、前から買っていて手をつけていなかった文庫本の「東京大学応援部物語」を手に取ると一気に読了できた。
 応援部のまったく論理的ではないけれど、無償の青春の物語は、無意味に炭酸のきついレモンスカッシュのように、はなをぬけ、泣けた。

 夜は、NHKの「にっぽんの現場」を見る。食品偽装を監視する官僚たちの奮闘の現場にカメラを据えた、緊張感に満ちた番組だった。

 番組を見ながら、番組自体の感想とは別に、分かっていながら食品偽装に手を染めてしまう「人間の弱さ」というどうしようもない「普遍性」に思いをはせた。そこには何がしかの鉱脈がある気がするのだが・・・。
 
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