2008-01-01から1年間の記事一覧

桜と食の安全と

桜の樹の下には屍体が埋まっている! これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下…

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程

久し振りに映画館で映画を見た。ぜひ見たいと思っていた「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」。映画館は満員で、ほとんど団塊の世代以上のように見受けられた。 内容は、自分の中で容易には言語化できないほど圧倒的で、その昏さは「時代」という一言で片…

 what you can do for your・・・

ここ1週間、朝から深夜まで会社の中にこもりっきりになっているうちに、街ではもう桜が満開を迎えているようだ。さかのぼればこの1ヵ月、他部署の人たちと頭をつきあわせ、喧々諤々、議論百出、自分は何のために今このことをしているのかという思いに引き…

人物を等身大に描くということ

日曜日、取材で東大を訪れる。実人生で全く縁がない場所である。 安藤忠雄氏が建築した福武ホールという建物の中で若い3人を取材させていただいた。とても楽しく取材させていただいたが、それはそうと安藤忠雄氏は2度ほどお会いさせていただいたことがある…

NHK特集「どんなご縁で」

夜、お気に入りのドキュメンタリーを見る。NHK特集「どんなご縁で」。個人的に5本の指に入る番組で、いつも自分が迷ったら見ているような気がする。がんに侵された老作家と、認知症を患う妻の愛と葛藤の物語。ほとんどがイメージカットと証言でつづられ…

BS放送記念日特集「映像メディアはどうなるのか」

会社に出て仕事をしようと思うが、あまりにも天気が良いので自転車でちょっと離れた公園まで遠出して作業をすることに。大勢の人が気持ちよさそうに体を動かしているのを見ながら、パソコンに向かうのは不思議な気分である。 早朝にHDDにたまっていく一方…

野に咲く花のように

最近、日中は会議や交渉事が目白押しな一方で、真夜中に海外のリサーチャーとの取材連絡がある関係で、とかく、一日が長い。HDDにはドキュメンタリーがたまっていき、本を読むスピードもかなりおちて、体内が乾いていくような感覚だ。 会議を主催している…

最相葉月「星新一 一00一話を作った人」

先週末から読み始めた最相葉月の「星新一 一00一話を作った人」をようやく読了。 最近、何かとばたばたで本を読む時間がとれずにいたが、圧倒的な傑作だった。 図書館にあったシリーズを全部読み終えてしまうと、ぱたりと関心を失った。 あれほど熱中した…

 春の一日

梅が満開近い近所の公園を散歩したり、たまった新聞の切り抜きをしたりの休日。 購読している毎日新聞を読み返していると、今週もいろんな記事がありました。タイトルをあげると さよなら「銀河」乗車記 おちおち死んではいられない 建築家 槙文彦さん 明日…

最近の若者達は・・・

京都へ出張して、深夜まで10歳ぐらい年下の人たちと一緒に過ごす機会があった。 僕自身「最近の若者達は・・・」と呼ばれるにはいささかトウが立ちすぎているが、いつの時代も、大人達が考えるよりも、若い世代の人たちはしっかりしていて、むしろ大人達が…

京都へ

京都へ出張。東海道新幹線沿線は小糠雨というには大粒な雨が降っている。金曜日のせいなのか、のぞみの自由席は立ち見まで出ている。京都までは2時間10分なので、資料を読んで、少しうとうとして、読みかけの本を読んで、というかんじが調度よい。 関東の…

普通の一日

定刻より早く会社に行って、日中取材に出て、夜、要点を整理しなが取材メモを作り、今後の方向性を検討し、こまごまとした庶務をこなし、帰宅する。普通の一日である。 最寄駅から帰路につく途中、妙齢のお姉さんが、さっそうと歩きながら何か自分に陶酔する…

 企画のことを考える/「対角線上のモハメドアリ」

寒さが随分と緩んできたので、近所を散歩しながら、考え事をする。 週末に、先輩プロデューサーと先輩ディレクターと会食する機会があり、改めて大いなる刺激をもっらたので、自分の現在の問題意識と描きたいものなどを、歩きながら思い浮かべていった。 休…

NHKスペシャル「ミラクルボディ第一回 アサファ・パウエル」

今日から、始まったNHKスペシャルの大型シリーズ「ミラクル・ボディ」。ハイスピードカメラなど最新鋭のテクノロジーを駆使してトップアスリートの真髄に迫るドキュメンタリーは、驚きと楽しみ、そしてスペクタクル感に満ち溢れていて圧倒的でした。サイ…

 車中の親子/永沢光雄「愛は死ぬ」

昨日、最終のバスで帰宅していると、先に乗っていた親子らしき2人が大きな声で熱心に話をしているのに注意をひかれた。話の主導権は主に息子が握っていたのだが、どうやら大学生で、就職活動中らしい。この日も何社かセミナーを受けてきたらしく、いささか…

 フィッツジェラルド「ジャズエイジのこだま」/NHKスペシャル「映像の世紀」

気がつけば同じ本を何度も買ってしまうことがあるけれど、スコット・フィッツジェラルドはそんな作家だ。 この前、高田馬場の古本屋街で、定価より高い値段で絶版になったフィッツジェラルドの文庫本を買ったら、実家に同じ文庫本が2冊もあった。 フィッツ…

  日常の豊饒さ/吉本隆明「恋唄」

他部署の先輩が作った番組を見た。まだ具体的な放送日は決まっていないそうだが、90分サイズの長編ドキュメンタリーである。驚いたのは、番組が全くのノーコメントであること。近年のテレビ番組では、殆ど見られない演出方法だろう。下町に暮らす老夫婦と…

川崎泰資・柴田鉄治「組織ジャーリズムの敗北」

書店に平積みされていた「組織ジャーリズムの敗北」という本を衝動買いし、一気に読む。 とても重い内容で、肺腑にずしりと来た。つまりは、非日常的な事態の場合のみではなく、凪の日常において個々人がどのように振る舞うことが出来るのかが問われているの…

渋谷「八詩」/様々な発見

他部署の方と、打ち合わせを兼ねて会食。 普段はどうしても同じセクションの人たちと話す機会が多いので、そこには自ずと暗黙の共通言語があって、それはそれで気持ちよいのだけど、そういう枷からはずれての会話もまた愉しいし、様々な発見があってとても勉…

プレミアム10「この世界に僕たちが生きてること」

再放送されたドキュメンタリー「この世界に僕たちが生きてること」を見て、言葉では言い表せない静かな感動におそわれています。 プレミアム10 「この世界に 僕たちが生きてること」 愛知県・旧下山村(現 豊田市)の山あいの静かな地区に、家族が営む素敵…

中野「ちどり屋」/カースン・マッカラーズ「心は孤独な狩人」

土曜日だけど、何かと調べものがしたくて出社する。人が少ない職場は、心なしか空気が澄んでいるようで、集中できるし何かとはかどる。帰りにぶらりと中野の「ぢどり屋」に行く。この店は、博多に本店があるということらしいのだけど、数年前にオープンした…

開高健「輝ける闇」

出張で三重県の伊勢に行った。三重県に行くのは生まれて初めてだなあなどと思いながら近鉄特急に乗っていて、ふと5年ほどまえに一泊二日で鈴鹿のホンダに取材にいったことがあったことを思い出した。まとまった大きな仕事に関する記憶はわりと後までくっき…

 だから・・・

TBSを経てテレビマンユニオンを創設し、優れた制作番組群によってだけでなく、その「思想性」においても、ずっとテレビの世界をリードし続けた村木良彦氏が先月亡くなった。その死にコメントを寄せた是枝裕和氏の言葉が印象的だった。 僕がこの仕事を選ぶ…

 小山ゆう「スプリンター」とid:jkondo社長

昔から小山ゆうの漫画が好きだった。 「あずみ」や「龍馬がゆく」というよりは「がんばれ元気」や「スプリンター」の小山ゆうだ。 たとえば矢吹丈のように無頼という意味で破天荒ではないのだけど、常識的に見ると「破滅」とすれすれの地点にたって、自らの…

矢島正雄 弘兼憲史「人間交差点」/児玉隆也「淋しき越山会の女王」

最近、お風呂に古い漫画を持ち込んで読むようになった。昭和の時代に人気を呼んでいた漫画「人間交差点」だ。 今でもネットカフェの定番だけど、学生時代、漫画の中の"メロドラマ"に惹かれむさぼり読んでいた。先日、実家の物置から引っ張り出し東京に持って…

近藤社長の帰還

はてなの近藤社長がシリコンバレーから帰還し、会社も本社を京都に移転することが発表され大きな話題になっている。肯定的な意見であれ、否定的な意見であれ、日本のネットユーザーの、はてなや近藤社長への眼差しには特別なものがあるのだということを改め…

NHKスペシャル「闘うリハビリ 第一回」

NHKスペシャル「闘うリハビリ第一回 あなたはここまで再生できる」を見ました。 いま、リハビリテーションは急速に進化しつつある。 研究現場では、脳科学や神経生理学、画像診断の発達によって、これまで目に見えなかったリハビリの効果が次々と実証され…

変わらない風景/金子光晴「どくろ杯」

実家においてある本を整理したくて2年ぶりぐらいに帰省した。新幹線から見える風景は、所々の喧噪をのぞいては変わりなく、在来線に乗り換えてからは時間が止まったような気さえした。何かにおいたてられるような東京の「時間」のことを否応なく思わされた…

 開高健「過去と未来の国々」ほか

たまっていたスクラップを精読する。新聞の<紙>の記事を丹念に読むことは、自分の中に何かを定着させてくれる。僕の年齢ではネットとはまた作業として、うち捨てることは今後も出来ないだろう。 スクラップをまとめてあとで読むといいのは、「記事」を時間…

鬱々としていた日々

本当に10数年ぶりに早稲田の古本屋街をゆっくりと歩いた。学生時代は、毎日のように古本屋をひやかし、乏しい財布の中身と相談しながら、時には背伸びしたりしていろんな古本を買っていた。佐伯一麦や松浦理英子、中野重治など戦前のプロレタリア文学、ガ…