普通の一日

 定刻より早く会社に行って、日中取材に出て、夜、要点を整理しなが取材メモを作り、今後の方向性を検討し、こまごまとした庶務をこなし、帰宅する。普通の一日である。

 最寄駅から帰路につく途中、妙齢のお姉さんが、さっそうと歩きながら何か自分に陶酔するように歌っている。曲は中島みゆきの「ホームにて」。なんか、SFチックな風景だなあと思って観察していると、耳にはipodのイヤホンが。最近、こういう人が増えている気がする。自宅前に交通量がまあまあある中ぐらいの道が通っているのだけど、朝晩問わず、絶唱しながら歩いている人が多い。決まってipodを耳にしている。この前は、小学生ぐらいの男の子が「お魚くわえた♪」と大声をあげていたし、つい一週間前には50絡みのサラリーマンらしき人が朝から「さよなら、さよなら、さよなら、ああ」とオフコースを歌い、何かに別れを告げていた。
 ipodの爆発的ヒットは、人々を、トンチンカンな方向へ誘っていく。