小山ゆう「スプリンター」とid:jkondo社長

昔から小山ゆうの漫画が好きだった。
「あずみ」や「龍馬がゆく」というよりは「がんばれ元気」や「スプリンター」の小山ゆうだ。
たとえば矢吹丈のように無頼という意味で破天荒ではないのだけど、常識的に見ると「破滅」とすれすれの地点にたって、自らの可能性を信じ、生命を燃やしていく主人公がどうしようもなく魅力的だった。先日、実家から大量の小説や漫画を持ち帰って、その中に「スプリンター」もあったのだけど、全14巻を一気に読み返して、主人公の結城光とid:jkondo社長が、なぜかダブって感じられた。

結城光は、約束された財閥の総裁という地位を投げ打って100メートルランナーとしての世界に没入していく。光にとって100メートル走とは、人類の未達の地点へ誘ってくれるための道具に他ならない。光は10秒を切る世界に神の気配を感じ、まさに命を削り、その気配を見極めようとする。ライバルが次々と廃人となっていくなかで、それでも光は、何かにとりつかれたように10秒の先にある世界に到達しようとする・・・。

id:jkondo社長の思想が心をとらえるのは、インターネットが人間にもたらすであろうその善なるものを、遮二無二、追求しようとしているからではないだろうか。その行動力と決断は時に型破りに見えることもあるかもしれないが、人類の未達の地点を自らの手で見極めようとする圧倒的なパッションが、この時代には少なくなった無償の爽快さを僕たちにもたらしてくれるのだ。

それは初期の小山ゆうの漫画の読後感と似ているような気がする。