梶山季之「ルポ戦後縦断」
トップ屋として名を馳せた梶山季之「ルポ戦後縦断」を読む。
昭和30年代の日本の空気が、皮膚感覚で伝わって面白い。王子製紙のストライキ、ブラジルの日系社会の戦後の混乱、多発する蒸発などなど16編。
人間は、歴史的偉人の「大歴史」だけでなく市民の「小歴史」においても、その瞬間・瞬間は、何らかの「正しさ」に導かれて行動しているように見えて、迷いこむように哀しい道を歩んでいくものなんだということを、感じたりした。
「赤線深く静かに潜航すーステッキ・ガールという名の淑女たち」という小編を読んで、緒方拳演ずるところの連続殺人犯が「ステッキ・ガール」と遊ぶジーンが描かれていた今村昌平の「復讐するは我にあり」を思い出した。映画では「ステッキ・ガール」を根岸季衣が演じていた。それにしても、あの映画は女優たちが圧巻だった。
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