どんなご縁で

 心配なことがある。海外に出張しても、日本との隔たりを時空間的に感じることは少なくなったが、こんな時はいやがおうにもその隔たりの深遠を思う。

夜、持ってきたDVDを見る。老私小説作家夫婦の日々をトレースしたドキュメンタリー。ラストシーンを見ながら、当たり前の日常を生きることのカケガエノなさを突きつつけられる。ラストに流れる老作家の小説の一節・・・。


          

愛情。ひとつの愛情が自分の心を訪れた。
それから曇った日が輝かしくなり
草や木や花が優しく自分に語りかけた。
愛情はいつも自分と一緒にいるので
人々を懐かしく思い
その日その日が楽しく愉快だ。

そうかもしれない

そうかもしれない