昭和のドラマ

 近所のレンタル屋に「池中玄太80キロ」のDVDが入荷していたので、パート1からパート2にかけてむさぼるように見る。殆ど、不眠不休で見ている感じだ。高校時代、野球部の同期が池中玄太の大ファンで、意気投合したことをなつかしく思い出した。お互いド田舎から越境して高校に入り、大学も東京で一緒だった。彼のお母さんが養鶏場でパートで働いていて、仕送りともに送られてくる卵で、何度も飢えをしのがせてもらった。
 そういえば彼は池中玄太とともに小森愛の大ファンだった。シーズンオフで筋トレなどが練習の中心になる冬、彼に連れられて3キロ離れた古本屋に、小森愛の写真集を立ち読みによく通った。彼は「往復6キロのトレーニング」と力説していたが、その勤勉さは、他の練習では全く発揮されなかった。 
 
 池中玄太は、大学時代に再放送で見ていらいだが、笑いあり涙ありと、まさに「昭和のドラマ」だ。シンプルに人の優しさを描くことは、恥ずかしいことではないのである。もう何年も会っていない彼は地銀で支店長代理を務めている。いまでは、池中玄太と同じく3児の父になった。涙もろかった彼は池中玄太のようになっているに違いない。

池中玄太(西田敏行)は大京通信社の専属カメラマンで、報道撮影のかたわら鳥類、特に丹頂鶴の写真を撮影することをライフワークとしていた。編集長楠木(長門裕之)との報道写真をめぐる激しいやり取りが続く日々でもあった。ある日、そんな玄太が子持ちの未亡人鶴子(丘みつ子)と知り合い結婚することなった。しかし、鶴子の3人の娘 絵里(杉田かおる)、未来(有馬加奈子)、弥子(安孫子里香)が玄太になつかないまま5人による同居生活が始まった。最初は3人の娘は玄太に距離を置いていたが、しだいに玄太に打ち解けるようになってきた矢先、妻の鶴子が脳内出血で倒れ、帰らぬ人となってしまった。残された3人の子供たちに対して周囲では、他人の玄太には育てるのは無理と反対をするが、玄太は鶴子との約束だと言って、3人を立派に育てて見せると宣言する。その後、玄太と3人の娘は本音で格闘しあい、やがて、本当の家族以上に理解しあえる関係になっていく。

池中玄太80キロDVD-BOX I

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