旅とドキュメンタリー

 HDDに撮りためていた最近のドキュメンタリーの中で、静岡テレビとドキュメンタリージャパンが制作した「感動地球スペシャル 宮崎あおい、心にしみるアフリカ」が、とても良い(好みの)番組だと思った。

 宮崎あおいが内戦の爪痕残るルワンダを旅するのだが、この種の番組にあるような過剰さ(例えば内戦の犠牲者やアフリカという大地への直線的な肩入れ)がなく、かといって、決して冷めているわけでもなく、旅人として眼にとまるものに静かに共鳴していく姿勢が、爽やかなのだ。
 
 これも宮崎あおいの類稀なる資質なんだろうなあと思ってクレジットロールを見ると、カメラマンは巨匠の山崎裕氏。番組の中で、いわゆるキレイな映像は1カットもない。すべて手持ちで、宮崎あおいルワンダの人々の姿を切り取っていく。両者がかわす、つぶやく、その言葉を、的確に切り取っていく。
 そうして22歳の感性豊かな女優の旅が、確かな「ドキュメンタリー」になっているのである。

 番組の中で宮崎あおいが、貧しい子供のために学校をたてたい、だけど、たてるだけでは駄目でそのあとが大切だ、と語っていた。素敵な人だなと思った。