「永遠の球児たち」/NHKスペシャル「延長17回」

春の選抜高校野球の出場校が発表された。僕のふるさとの県からも選出された。僕が高校野球をしていたころにはそんなに強くなく、むしろ母校の方が強かったぐらいだが、時代は変わるものである。

そんなわけで日中、近所の図書館に行き「永遠の球児たち 〜甲子園の、光と影〜」という本を借りて来て読む。
そんなに期待は大きくなかったがなかなか面白い。常勝横浜の渡辺監督と小倉部長に関するルポをよむと、プロに入ってからも横浜の選手の多くが大成する理由がよくわかる。
今から10年前、松坂大輔擁する横浜対PLの死闘を描き出した「延長17回」というNHKスペシャルがあった。
番組は、戦い尽くした球児たちの人間模様を余すところなく描き出してスポーツドキュメンタリーの頂点を極めるものだったが、それとは別にあまりに高度な技術戦に、凡庸な球児だった僕は、腰をぬかさんばかりに驚いたものだった。

メジャーリーグが日本でも人気を呼びだした頃から、高校野球の完全燃焼型のあり方が非難されることも多くなってきた。確かに高校時代の非現代的な精神主義による体の酷使で、その後のスポーツ選手としての人生を棒にふった人も多い。ただ、甲子園という「一回性」の中でまさに命を削っていく高校野球の姿は、それはそれで選手たちにかけがえのない何かを与えるのものだとも思う。だからこそ高校野球は、プロ野球にはない、ましてはメジャーリーグにも輝きを失うことはないのだろう。ただ、上辺だけの潔癖主義によって一部の不心得者が暗躍し、世間を騒がせた裏金問題や特待生問題をなおも潜在化させているのは残念としか言いようがない。

永遠の球児たち―甲子園の、光と影

永遠の球児たち―甲子園の、光と影